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2017年11月13日 (月) │ ボイス広く、深く、セキュリティを学ぶBasic SecCapコース~セキュリティ分野~

東北大学 教授
サイバーサイエンスセンター ネットワーク研究部
曽根 秀昭 (そね ひであき)

――enPiT1で培ったノウハウをenPiT2でどのように活かしていくのでしょうか?
曽根先生 : セキュリティ分野では、当初から実践セキュリティ人材育成コース(SecCap)という名のもとにセキュリティ人材育成を推進してきました。高いセキュリティレベルを有する人材育成は必須であり、セキュリティを正しく理解し、実社会で活かすことのできる実践力を備えた技術者や経営者が求められています。
 そこで、enPiT1では、SecCapコースとして修了認定を5大学間で協働して行い、数多くの修了生を輩出してきました。
 enPiT2でも基本的にはenPiT1の進め方を踏襲し、学部生を対象としたBasic SecCapコースを開設しました。Basic SecCapコースは、特に演習科目を重視し、各校が特徴的なPBL演習を用意しています。また、先進演習科目として、大学院インターンシップと先進PBL演習も提供し、将来のスペシャリストとなるために必要な高度な能力を身に付けることも可能です。このコースを運営するノウハウは、まさしくenPiT1の知見の継承だと考えています。
 なお、セキュリティ分野では、自由に他大学の講義を受けられるので、自分の興味や都合に合わせて組み合わせることができます。しかも、そのすべての科目に正規単位が与えられます。
――教材の作り方や教育の進め方には何か特別なものがあるのでしょうか?
曽根先生 : 大学院と大学3年生向けでは教育環境の面で大きな違いがあります。例えば、「時間」です。大学院生に比べると授業がびっしりと詰まった大学生の場合、夏休み、冬休み、春休みといった休暇の期間に集中的に授業を行うとか、平日の遅い時間帯で行う、内容レベルを下げて時間も短くするなど、様々な工夫が必要です。
――新しいカリキュラムの特徴は?
曽根先生 : コンピュータとかネットワークとか暗号などを扱う既存の科目は基礎科目として位置付けています。その他に、セキュリティとしての全体像を理解できるようにということで、セキュリティ総論という専門科目をBasic SecCapコースの必修として設けています。すなわち、セキュリティ総論を取ったうえで、演習科目をいくつか取る積み重ね構造になっています。
 また、enPiT1では5大学が提供していましたが、enPiT2では14の連携大学が20以上もの教材を提供します。したがって、演習のバリエーションも相当深い内容で、カバーする範囲も広く、垂直の広がりに関してもバリエーションが出てきたと思います。
――教員同士のコミュニケーションはいかがでしょうか?
曽根先生 : 連携大学だけで14もあるので、重点実施校を5つ選んで、そこで専門科目を担当する体制をとっています。14大学それぞれにカリキュラムを開発し、それを担当する教員を割り当てています。毎月1回の運営委員会では、関係している人たちが集まり、14の大学を遠隔でつないでFace to Faceでミーティングをしています。
――学生へのメッセージをお願いします。
曽根先生 : 通信分野のセキュリティ、組込みシステム分野のセキュリティ、ソフトウェアのセキュリティ、企業経営におけるセキュリティ、あらゆるところにセキュリティが絡んでいます。分野を問わず、たくさん受けに来て欲しいと思います。