事業期間:2016年度〜2020年度

2017年11月20日 (月) │ ボイスプロジェクト管理とは何かを一から学ぶ~組み込みシステム分野~

名古屋大学 大学院情報学研究科
附属組込みシステム研究センター 准教授
𠮷田 則裕 (よしだ のりひろ)
岩手大学 理工学部 特任准教授
三上 昌也 (みかみ まさや)

――enPiT2での教材開発について教えてください。
𠮷田先生: 学部生を対象としたenPiT2では、教材としてキッチンタイマーのボードの作成をテーマにしました。市販されている組込みシステムの教材は、企業の社員研修で使うような高度なものか、もしくは子供向けのものになってしまいます。大学での授業に適したものがなかなか見つからないのです。そこで検討した結果、学部生向けにはキッチンタイマーの基盤やプログラムを学習するのがよいのではないかということになり、自ら教材を作ることになりました。
 名古屋大学では新学部の3年生向けにこの教材を使う予定です。岩手大学でも検証を始めました。他にも高等専門学校での展開を検討してます。
――すでに開講されている演習との違いはあるのでしょうか?
𠮷田先生: 今回作成したPBLでは、組込みシステム開発の分野では一般的なV字モデルというプロセスモデルに従って、学生に行動してもらうことをねらいとしています。プロジェクト管理、プロセスという観点を授業の中に取り入れている点が、学部レベルで良く行われている典型的な演習と異なる点です。
三上先生: 来期に向けてすでにトライアルの授業も行いました。学生たちが持っている研究課題をもとに、チームを作り、仕様書とガントチャートを作るという授業を3時間×2回に分けて行いました。そのガントチャートを作る過程を客観的に見ていたのですが、最初は学生へのダメ出しが続きましたね。しかし、私からのフィードバックを受けて、学生が作り直したものは相当レベルの高いものになっていました。
 enPiT2の授業の手応えを感じたのはその時でした。中途半端に学生に優しく接するのではなく、課題解決型学習、実践型学習であるということを強調しながら、教員としてどのような場を提供するのが良いのか、また、学生にどのような意識付けをさせるかが重要であると思いました。
――学生へのメッセージをお願いします。
𠮷田先生: enPiT2は、組込みシステムをすでによく知っている学生向けというよりも、組込みシステムに興味がある、組込みシステムを使ってみたい、技術を学びたい、関連リテラシーを学びたいという学生を募集しています。
三上先生: 他大学との交流やチームビルディングを体験学習したい学生はぜひ受講してください。学生の声を受けて、岩手大学としては具体的に毎回テーマを与えて場づくりをしっかりやります。受講生に決して失望はさせません。